今年11月8日、東芝は2024年3月期を最終年度とする中期経営計画(ネクストプラン)を発表しました。事業内容を大きく変える方向性を示したものです。

2015年3月期(経営危機以前)の売上構成トップ3は、発電(原子力・火力など)28%、電子デバイス(メモリーなど)24%、エレベーター、空調などで9%
これを
2022年3月期にはエレベーター、空調など38%、半導体、HDD24%、発電(火力、水力など)17%に売上構成を変えるというものです。

また成長分野として、人口知能(AI)やあらゆるモノがネットにつながるIoTなどデジタル技術の活用を中期的な成長分野と位置付けました。

ただIoT分野では競合大手が先行しており、国内では、三菱電機が2000年代前半から、日立製作所は2010年代からIOT推進を経営戦略の核に据え始めており、東芝は周回遅れと言われても仕方のない状況です。

かつてライバルとされた東芝と日立。時価総額が拮抗していた2社はリーマンショック後に命運がわかれ、現在は時価総額で1兆円超の差が生まれています。

この2社の命運を分けたターニングポイントはなんでしょう。

「週刊ダイヤモンド」特集記事には、「変われぬ東芝 変わる日立」という見出しがありました。
東芝と日立の社風の違いについて書かれていましたが、日立は、自分たちを「野武士集団」ととらえています。積極果敢に事業推進できたことが日立の強さの本質でした。

日立の「野武士」、サントリーの「やってみなはれ」といった結集軸となる社風が東芝には存在しなかったといわれています。

命運を分けた理由はもちろんいくつもありますが、企業経営で最も大切なポイントは「変えられるかどうか」です。

自社を「変える」ために経営者が持つべき力は、2つ。
「企業を方向付ける力」「実行力」

過去の成功体験にこだわらず、健全に過去を否定する勇気が必要です。自分の力では、どうにも変えられない環境変化を事業悪化の理由(言い訳)に嘆くのではなく、潔く変化を受け入れ、環境に自分と自社を合わせる決断をできるかどうか。

方向性の変更は過去を否定することとなり、実際の行動や組織の在り方、上手く回っていた仕事の流れを変えることにもなります。当然、一時的に痛みを伴い、現場からの反対意見があがることも多いです。「リスクが大きすぎる」「逆に売上が下がります」「そのやり方だと、生産性が落ちます。」「現場が混乱します」等々・・・・それら反対意見のほとんどすべてが正しく、もっともな意見であることでしょう。

また、考え抜いて出した結論とはいえ、未来は神のみぞ知る。当然、自分自身100%成功させる自信や確信は無いことでしょう。

松下幸之助さんは、60%いけると実感できれば行動したとおっしゃっています。
松下幸之助さんのような方でも60%程度の確信しか持てなかったのかと思うと、同じ人間なんだと思えると同時に、その中で決断し続けてきた偉大さを思い知ります。

決断し、やりきることができるか。

経営も人生も学校のテストとは異なり、正解なんて実際は誰にもわかりません。
こうすれば必ずうまくいく、というような方法はどこにもありません。心の奥底に不安と恐れを抱えながら、自分を信じて結果をだすまでやりきれるか。

わからない中でも環境の変化をよみとり、環境に自分、自社をあわせ、自分を信じて決断、行動し、やりきる力。自分の下した決断、行動を正解にしていく生き方こそが、本当の環境適応能力でしょう。

 

チャールズ・ダーウィン(国の自然科学者。種の形成理論を構築)の残した言葉です。

生き残る種とは、最も強いものではない。最も知的なものでもない。

それは、変化に最もよく適応したものである。