夏休みに初シンガポールを満喫してきました。

シンガポールと言えば、今年の6月12日に米朝首脳会談の舞台になった場所。
そして、6,7年前でしょうか。ソフトバンクCMでスマップが地上200メートルのプールサイドを闊歩する映像、マリーナベイサンズを初めて見たときは、こんな夢のような景色が実際に存在するの!?と驚きと憧れで、目が釘付けになったのを覚えています。

現在のシンガポールは、綺麗で、安全で、豊かな国という印象です。

シンガポールは国土が東京23区を少し大きくした程度の広さで、1965年8月9日、マレーシアから追放される形で独立した国です。
独立時の人口はたった約200万人(現在は560万人)。
しかも多民族国家(中華系、マレー系、インド系等)で言葉や宗教もバラバラ。
資源(特に水がない事は致命的・・・)もなく、技術もない中、わずか50年でアジアナンバーワンの豊かさを手にしたシンガポール。

そんなシンガポールの成功の姿、秘訣を実際に目で見てみたい、と思っての訪問でした。

行って、まず驚いたのは、とにかく人が多い!! どこに行っても人、人、人です。

多民族国家に加え、年間、なんと国民の3倍の人数の観光客が訪れる国とあって、「ここはどこの国!?」というくらい、人種がバラバラのため、すれ違う人みんな、服装も髪型も言葉も自由にバラバラです。

8月9日ナショナルデー(独立記念日)などは、そこらじゅうでイベント、パレード、航空ショー、花火などが行われ、朝から夜通しお祭り騒ぎです。あらゆるところで、国旗が飾られ、ナショナルデーを祝う人々は、国旗にちなんでか、赤い服を着た人を多く見かけました。愛国心の高さを感じました。

この国の成功は、リー・クアンユー初代首相(2015年3月死去)の強力なリーダーシップによるところが大きかったようです。

リー・クアンユー初代首相の考え方や行動は、今後の日本国家運営はもちろん、我々中小企業の企業経営にも、ものすごく参考になると感じました。

何もなかった小さなシンガポールがアジアナンバーワンにのぼっていった要因

1.国の進むべき方向性を示した
2.教育言語を英語とした
3.究極のエリート教育の実施
4.観光客向けとシンガポール人向けとの線引き
5.仕組みづくり

1.国の進むべき方向性を示した

まず、リー・クアンユーが考えたこと。この小さな国で、多民族が暮らすバラバラのシンガポールを国家として成り立たせるためには、「国民を豊かにする事」と「シンガポール国民である事に誇りを持つ国にする事」の2点。つまり、去年よりも今年、今年よりも来年・・・暮らしが豊かになる、成長し続けるシンガポールを創り上げる事が至上命題でした。

この根本的な考え方を土台に、国家が運営されました。

豊かにするための方向性は、ヒト・モノ・カネを世界から呼び寄せる施策をとったこと。

今では信じられませんが、ほんの50数年前は、ゴミと排泄物で悪臭を放っていたマリーナ湾。これを国家を上げての清掃プロジェクト実行により、マリーナ湾岸は、マンダリン、マリーナベイサンズといった高級ホテルが建ち、マーライオンが涼しげに水をはき、景色を眺めるカフェやバーがたくさんある美しい場所に生まれ変わり、年間、国民の3倍の人数が訪れる観光立国に成長しています。

日本には、自然や歴史的建造物といった元々の観光資源が存在しますが、シンガポールには全くなく、すべて人工的に創り上げたものです。世界の人が来たい!と思う国をつくることは、我々の想像を超える苦労であったと思います。

2.教育言語を英語とした

2つめの成功要因は、教育言語を英語に統一したことです。現在のシンガポールの人口は約560万人。内中華系が74%、マレー系が16%、インド系が8%、その他が少数民族。

元々、多民族がバラバラの言語を使い、宗教もバラバラ。自社に置き換えてイメージすると、ものすごいリーダーシップだなぁと感じます。

英語への統一は、コミュニケーションがとりやすくなったこと、世界中の人を受け入れやすくなったこと、即、世界で活躍できる人材育成になるなど、その功績は計り知れないものです。

3.究極のエリート教育の実施

国土も資源もない国を豊かにするために、「馬鹿を政治家にしない。馬鹿を官僚にしない」を大原則にしたこと。周囲の大国に囲まれ、何もない弱小国という、厳しい状況の中、正しい方向性を示す政治家、それを絵に描いた餅にしないために、実際に運営を担う官僚の質は国家の運命を懸けたものだったのでしょう。上記のような理由で、リー・クアンユーは初代首相は、教育に大きな力を注ぎます。シンガポールでは小学生でも卒業試験があるそうです。小学校卒業、中学校卒業時の時から試験でふるいにかけられるようです。そうやって究極のエリートを育てていきます。

現地の方に聞くと、学費は国が半分補助してくれるので安いらしいですが、エリートふるい分け試験のために、子供の塾や習い事に多くの教育費をかけていいて、子供たちは学校以外にも忙しいようです。

4.観光客向けとシンガポール人向けとの線引き

現在、国民の87%が購入した公営住宅に住んでいます。つまり持ち家率約9割!シンガポールには、CPFという給与天引きの強制的な貯蓄制度があり、これでみんな家を買えるようです。
それぞれの公営住宅近くにはバスや地下鉄の駅、スーパーマーケット、学校、ホーカーズ(屋台村)など、どれも近くて、安くて便利につくられているそうです。シンガポール人は自炊の習慣があまりなく、ホーカーズ(屋台村)で3食も珍しくなく、女性の社会進出の助けとなっています。

シンガポールは物価が高いように感じますが、それは、あくまで観光客向け物価であり、生活必需品は安価で購入できそうです。

ただ、国土が狭いため、政府は車の渋滞を防ぐため、車保有はしない方向に政策しています。車輌代は日本より少し高め。驚いたことに保有には約300万円の権利証購入が必要なようです。権利証には、昼間だけ乗れる権利とか少し割安なものもあって、ナンバープレートの色で区分されています。
タクシーも安めですし、地下鉄も整備され、綺麗なため、車が無くも通常生活には支障はなさそうです。

5.仕組みづくり

そして最後の成功の秘訣は、仕組みづくりです。シンガポールのコンセプトは世界からヒト・モノ・カネを呼び寄せる。つまり、世界の「ハブ」を目指してきたのでしょう。ヒト・モノ・カネを自国に引き寄せるための、あらゆる仕組みをつくってきました。リー・クアンユー初代首相が亡くなった今でも、世界の「ハブ」という根本的方針から「金融ハブ」「医療ハブ」「人材育成ハブ」など目指しています。この「ハブ」という考え方は本当に面白いです。

シンガポールは、リー・クアンユー初代首相の元、強力なリーダーシップとそれを実際に運営する有能な官僚により、見事な発展をとげてきました。

リー・クアンユー初代首相は「国民を豊かにする」「シンガポール国民である事に誇りを持つ国にする」という目的を国家運営の土台としました。目的を果たすための戦略として、シンガポールは、世界からヒト・モノ・カネが集まる「ハブ」を目指すという明確な方向性を示しました。そして、方針を実際に実現させていくため、有能な政治家、官僚を集め、実行できる組織を創り上げました。国家運営も企業経営も実は全く同じかもしれません。

経営者は何のために経営しているのかという、根本的な経営哲学を土台に置きながら、理念を実現するための方向性を明確に示す。

そして、幹部ともに、その方針実現の具体的行動を立案、実行していく。

経営理念、自社、自分に与えられた使命を実行するための戦略を立てる。戦略立案には、外部環境、内部環境を冷静に分析するマーケティング力と最適に資金配分できる財務力は必須。そして、戦略を実行する組織づくり、教育は欠かせないでしょう。

弱小国シンガポールをアジアナンバーワンに成長させたリー・クアンユー初代首相の国家運営は、我々経営者も学ぶべきところが多いのかもしれません。