12月7日の日経記事に京セラ創業者である稲盛和夫名誉会長が若手経営者に経営哲学を伝える「盛和塾」が2019年末に活動を終えるとの記事がありました。

「盛和塾」は、かつてはソフトバンクグループの孫正義会長兼社長も学ばれており、京セラの経営哲学の中核を担う小集団で部門別採算管理を徹底する「アメーバ経営」や稲盛氏の実体験や経験則に基づき人間性や社会貢献などを追及する「フィロソフィ」という独自の考え方を学ぶ場でした。

私は現在通っている京都大学経営管理大学院管理会計講義で、藤井敏輝先生より「アメーバ経営」について学ぶ機会を得ました。

「アメーバ経営」と聞くと、生産性向上のための部門別採算管理といった数字的な部分がクローズアップされがちなのですが、京セラに根付く「アメーバ経営」とは、もっと別の理由から生まれたようです。

京セラは、1959年4月1日、創業者である「稲盛の技術を世に問う」ことを目的に同志7名と新卒採用、計28名でスタートした会社です。ただ、その後、目的を個人主義から「大家族主義」におきかえられたそうです。

「大家族主義」とは、会社が一つの大家族であるかのような運命共同体となり、経営者と従業員が家族の如く、お互いに理解し、励まし合い、助け合う事が会社経営のベースにある経営体を目指したものです。

当初の設立目的「稲盛の技術を世に問う」という「個人主義」から「大家族主義」への転換時に、「アメーバ経営」が考案され、同時に経営理念が制定され、後の「経営12か条」に繋がってゆきました。

「アメーバ経営」は、会計専門家によって作成、指導されたものではありません。家族の一員である現場の責任者が、稲盛氏に自分が責任を持つ現場の現状を報告するために作成し、変化させていったものです。

経営者が労働者の立場や権利を尊重するとともに、労働者が経営者と同じように、会社のために自主的に貢献しようとする会社を作る事を目的にできたものであり、アメーバ経営はあくまで人材育成(採算のわかる実務者の育成)の手段なのです。

「人材育成」の手段であると捉えると、当然、部門別採算といった数字的知識と技術だけを身につけさせればいいのではありません。京セラが目指すのは、「心をベースとした全員参加の経営」です。よって、「アメーバ経営」の実践は、あくまでも「京セラフィロソフィの共有」と両輪で成り立つものなのです。

京セラの人事制度の基本は評価制度とアメーバ経営です。

 

1. 評価制度

京セラが目指す「心をベースに全員参加の経営」を実現するために、経営理念の実践を評価の対象としています。

≪人生・仕事の結果 = 考え方 × 熱意 × 能力 ≫ の公式で評価

具体的には、下記3つの視点から評価します。

  • フィロソフィを実践する人材を高く評価する(行動評価)
  • 企業の発展に貢献できる人材を高く評価する(業績貢献度評価)
  • 自己革新をし続ける人材を高く評価する(スキル評価、役割・責任評価)

 

2.アメーバ経営

努力の結果が数値として現れることを念頭にした実力主義。

フィロソフィ、つまり「人としての正しい考え方」と「結果をだす力(熱意と能力)」の両方を身につけさせることが人材育成であり、人の成長が京セラの成長に繋がっているのだと実感します。

人として、何が正しいかを決して忘れない。しかし、一方で、プロの成果は結果。プロとして結果に生きる。これらを両輪として真摯に経営に取り組みたいものです。

 

稲盛和夫オフィシャルサイト